2005 ウォーター・ワーク・トライアル  at  Lake  NOJIRI 
第8回 水難救助犬 競技会 大会報告

ォーターワークトライアル運営本部 妙高動物病院 星 博夫

前日の雨が高山では、初冠雪となり、標高2454mの妙高山も山頂付近は真っ白となり、
非常に寒い天候でしたが、大会当日は、うそのように晴れ上がり、快晴となりました。
「第8回水難救助犬競技会」The 8th Annual Water Work Trial at LAKE NOJIRI)が開催され、
当日は中越大震災1周年にあたり、開会式の最初に、参加者全員で1分間の黙祷を行い、引き続いて
ミーティング・スタート順の抽選をして、午前10時にオープンクラスから競技開始となり、
また、会場には、地元「長野放送」のTV取材や一般の観覧者もあり、盛況な大会となりました。

日 時 2005年10月23日(日)
場 所 長野県信濃町菅川 「野尻湖」
主 催 日本ウォーターワーク協会(J.W.W.A)
協 賛 DOG・DEPT フレンドリー ドッグファン編集部 妙高動物病院
協 力 JWWA琵琶湖支部・西湖支部・妙高支部・十日町支部

 

 オープンクラス 競技種目



種目1 シングル・レトリービング(単純な物品持来)(難易度 3)

犬とハンドラーは水場に向っています。

この時、ハンドラーは手に物品を持ち、犬はヒールポジションでハンドラーの横に
座っています。

競技リーダーの指示で、ハンドラーは10m沖に物品を投げます。

競技リーダーの指示で、ハンドラーは犬を沖に出します。

犬は物品に向って泳ぎ、優しく物品をくわえて保持し、岸にいるハンドラーに向って
運搬します。

競技リーダーの指示でハンドラーは物品を渡すコマンドで犬から物品を受け取ります。



種目2 サーチ・レトリービング(探索を伴う物品持来)(難易度 3)
犬とハンドラーは水場に背を向け岸に向っています。

この時、犬はヒールポジションでハンドラーの横に座っています。

競技リーダーが水中に浮く物品(ダンベル、救命胴衣、ボート用の座布団等)を岸から
15m沖に浮かべます。

競技リーダーの指示で、ハンドラーと犬は水場に向って座りなおします。

競技リーダーの指示で、ハンドラーは犬を沖に出します。

犬は物品の位置を突き止め、物品に向って泳ぎ、優しく物品をくわえて保持し、
岸にいるハンドラーに向って運搬します。

競技リーダーの指示でハンドラーは物品を渡すコマンドで犬から物品を受け取ります。

種目3 ストレンジャー・レスキュー(他人の救助)(難易度 6)

犬とハンドラーは水場に向っています。

この時、犬はヒールポジションでハンドラーの横に座っています。

水場の15m沖に溺者役のアシスタントがいます。

競技リーダーは「準備ができましたか」と聞き、その後「開始」の合図を出します。

犬は1分以内に犬だけで水場に出ていき、沖合の溺者役を救助し、岸まで牽引します。

犬の足または溺者役のアシスタントの体が水底についたところで競技終了です。

種目4 アンダーウォーターレトリービング(水底からの物品持来)(難易度3)

犬とハンドラーは水場に向っています。

この時、犬はヒールポジションでハンドラーの横に座っています。
ハンドラーはアンダーウォーターレトリービング用の水に沈む物品を手にしています。

競技リーダーの指示でハンドラーと犬は一緒に水辺へ出て行きます。

犬の腹に水があたる程度の水深まで進んでください。そこで犬は立った状態で待っています。

ハンドラーは犬から1m程度先に物品を投げ、物品が沈んだら、コマンドで犬に探させます。

犬は水中に沈んだ物品を探しあて、ハンドラーの所へ持って行きます。
3分以内に3回のレトリービングを行うことができます。

ハンドラーの手に物品が渡ったところで競技終了です。


種目5 スイム・ウィズ・ハンドラー(ハンドラーとの遊泳)(難易度 4)

犬とハンドラーは水場に向っています。

この時、犬はヒールポジションでハンドラーの横に座っています。

競技リーダーの指示で、犬はヒールポジションでハンドラーと一緒に水場に出て行き、
そのまま水の中を進み、泳げる深さに来たところで、水泳を開始します。

その後、さらに10m沖まで泳いで行きます。

10mの水泳の後、犬とハンドラーは岸へ方向転換し、犬はハンドラーのコマンドによって
ハンドラーの先を泳ぎハンドラーを岸まで牽引します。

この時ハンドラーは泳いではいけません。

犬の足が水底についたところで競技終了です。

種目6 コンプリヘンシブ(全体の印象)(難易度 1)

種目と種目の間に犬とハンドラーがどのような振る舞いをしたか、または犬がどれだけ
協力的に、
あるいは積極的に集中して競技に参加したかを審査します。


以上の6種目で競技が進められました。

オープンクラスに参加するためには、過去2年以内にS&R(スイム・アンド・レスキュー)テストに
合格していなければなりません。

得点は、200ポイント満点、オープンクラスの合格点は100ポイント、
160ポイント以上で、エキスパート
クラスの出場権が付与されます。

 

オープンクラス成績

ポイント

No

ハンドラー名

犬名

犬 種

住所

162

星 奈津子

レオンベルガー

新潟県

107

大町 恵子

レオン姫

レオンベルガー

大阪府

99

稲田 卓也

十兵衛

アイリッシュセター

大阪府

98

大町 恵子

レオン王女

レオンベルガー

大阪府

97

松村 亜佑美

アイム

ラブラドール・R

滋賀県

89

佐藤 章

もも

レオンベルガー

東京都

84

鎌田 裕子

ジャックラッセル

大阪府

74

松崎 浩司

ダナヴァ

ニューファン

埼玉県

 

オープンクラス優勝
ちゃん


オープンクラスは午前中にすべて終了し、参加者全員、レストラン「フレンドリー」で昼食を摂り、休憩タイム。

午後1時から、エキスパートクラスの競技開始です。

種目1 レイ・ダウン(グループでのフセてマテ)
          (難易度2、満点20ポイント)

競技リーダーがハンドラーと犬を位置につかせます。

各競技者との間隔は5mで、水場から5m離れています。

競技リーダーの指示により、ハンドラーは犬にコマンドあるいはハンドシグナルで
犬にフセをさせ、待機します。

その後ハンドラーは犬をフセの状態で残し、競技リーダーの所へ集まります。
最高3分間フセマテをしています。

競技リーダーがハンドラーに競技の仕方などを説明している間、犬はフセをして
待っていなければなりません。

競技リーダーの指示により、ハンドラーは犬の所へ戻ります。

そこでコマンド「スワレ」を与えます。犬が座ったところで、この競技は終了です。

種目2 レトリーブ・フロム・ブリッジ(桟橋からのレトリービング)
                 (難易度3、満点30ポイント)

犬とハンドラーは桟橋にいます。この時、ハンドラーは木製のダンベルを手にして、

犬はヒールポジションでハンドラーの横に座っています。

水の深さは、犬が飛び込んだ時、水底に足がつかないほどの深さが必要です。

競技リーダーの指示により、ハンドラーは10mほど沖に物品を投げます。

競技リーダーの指示によってハンドラーは犬を水に出し、レトリーブさせます。

犬は桟橋から飛び下り、物品をくわえ陸へ運搬します。

ハンドラーは犬が泳いでいる間に岸に戻り、犬を迎えます。

競技リーダーの指示でハンドラーは犬から物品をもらいます。

この時犬はヒールポジションでスワレの状態です。



種目3 ロープ・キャリング・アンド・プリング・ア・ボート
    (ロープの運搬とボートの牽引
(難易度3、満点30ポイント)

犬とハンドラーは水場に向っています。

この時、犬はヒールポジションでハンドラーの横に座っています。

ハンドラーは端に結び目のある、およそ3mのロープを持っています。

15m沖にはアシスタントとボートを漕ぐ人がボートに乗って待機しています。

競技リーダーの指示により、ハンドラーはコマンドで犬にロープをくわえさせ、
ボートに乗っているアシスタントの
ところに運ばせます。

犬がボートまで泳ぎ着いたら、アシスタントはロープの端をボートにくくりつけるか、
手で持っています。

その後、犬はロープをくわえたまま陸までボートを牽引します。

ボートが水底につくか、犬の足が水底につく所まできたら、競技は終了です。




種目4 ディレクテッド・ライフライン・プリング(方向指示を伴う浮輪の運搬・牽引)
                        (難易度5、満点50ポイント)

犬とハンドラーは水場に向っています。

この時、犬はヒールポジションでハンドラーの横に座っています。

ロープの端に結び目のある、3mのロープでくくりつけられた浮輪があります。

2人の溺者役のアシスタントが15m沖にいます。2人の間隔は15mです。

競技リーダーはどちらの溺者を岸に連れてくるか、ハンドラーに指示を出します。

ハンドラーのコマンドで犬はすばやくロープをくわえ、指示された方へ泳いでいきます。

犬が溺者のところへ着いたら、溺者は浮輪をつかみ、陸まで牽引してもらいます。

浅瀬に着いたところで競技は終了です。そこでハンドラーが犬と牽引された溺者を迎えます。

種目5 アンダーウォーターレトリービング(水底からの物品持来)
                 (難易度3、満点30ポイント)

犬とハンドラーは水場に向っています。

この時、犬はヒールポジションでハンドラーの横に座っています。

ハンドラーはアンダーウォーターレトリービング用の水に沈む物品を手にしています。

競技リーダーの指示でハンドラーと犬は一緒に水辺へ出て行きます。

犬の腹に水があたる程度の水深まで進んでください。そこで犬は立った状態で待っています。

ハンドラーは犬から1m先に物品を投げ、物品が沈んだら、コマンドで犬に探させます。

犬は水中に沈んだ物品を探しあて、ハンドラーの所へ持って行きます。

3分以内に3回のレトリービングを行うことができます。

ハンドラーの手に物品が渡ったところで競技終了です。



種目6 ディレクション・レトリービング(方向指示を伴うレトリービング)
                 (難易度3、満点30ポイント)

犬とハンドラーは水場に向っています。

この時、犬はヒールポジションでハンドラーの横に座っています。

15m沖に2つの同じ物品(パドル、救命胴衣、フロート等)が15mの間隔で浮いています。

競技リーダーがどちらの物品を先に持ってくるか指示を出します。

競技リーダーの指示で、ハンドラーは犬を沖に出します。

犬は物品に向って泳ぎ、優しく物品をくわえて保持し、岸にいるハンドラーに向って運搬します。

競技リーダーの指示でハンドラーは物品を渡すコマンドで犬から物品を受け取ります。

残りの物品もレトリービングして競技は終了です。



種目7 ライフセービング・フロム・ボート(ボートからの救命)
                (難易度5、満点50ポイント)

15m沖のボートに、犬・ハンドラー・溺者役のアシスタント・ボートを漕ぐ人が乗っています。

競技リーダーは、ハンドラーが位置についたら、溺者役が水の中へ入るよう、合図を出します。

溺者役はジャッジから見える場所に浮いています。

ハンドラーはコマンドで犬に水中へ飛び込むよう指示を出します。

犬は溺者役を見つけボートあるいはいちばん近くの陸まで牽引します。

牽引中は溺者役は泳いではいけません。

溺者役がボートについた時、あるいは犬の足がつく浅瀬まで牽引されたところで競技終了です。


以上の7種目で競技が行われました。

オープンクラスで160ポイント以上取得していないとエキスパートクラスの競技に参加できません。

得点は、240ポイント満点、エキスパートクラスの合格点は130ポイント、190ポイント以上で認定です。

また、2年間で130ポイント以上取得できない場合は再度オープンクラスで競技しなければなりません。

 

エキスパートクラス成績

順位

ポイント

No

ハンドラー名

愛犬名

犬 種

住所

204

野崎 英博

エルマーナ

ラブラドール・R

長野県

192

荒井 央

パール

フラットコーテッド・R

長野県

170

大石 みち子

アール

ゴールデン・R

静岡県

153

阿部 克由

ピンク

ニューファン

東京都

102

星 奈津子

レオンベルガー

新潟県

 


エキスパートクラス優勝
エルマーナちゃん


今回の大会では、やはりレトリバー犬種が本来の能力を発揮して、上位になりましたが、レオンベルガーたちも、

秘められた能力を存分に発揮していた姿が印象的で、また年齢も若く将来が楽しみです。

頑張った、レオンベルガーたち


参加者みんなで記念写真